社会保険 随時改定時の月額変更届けの書き方

固定賃金の変動により従業員や役員の給与が大幅に変わる場合(2等級以上の上下)には定時改定を待たず、月額変更・随時改定となります。新標準報酬月額は、変動月から3か月間の平均値を使い決定。この月額から毎月の社会保険料が決まります。

◆Syaho 社会保険料、標準報酬月額の決め方

社会保険料の月額変更は基本的に4月〜6月の3か月の給与によって決まり、9月から月額が改定。 社会保険は末日判定、1か月遅れの徴収となりますので、10月から新保険料が控除される形です。 9月分の保険料は従前の月額に従い控除、これが算定基礎届によって行われる定時改定と呼ばれるものです。 定時改定で決定した月額は9月〜翌年8月まで使われます(1か月遅れでの徴収) 月額の変更は算定基礎以外にも、 基本給のベースアップやベースダウンにより2等級以上の変動が起きた時などにも行います。 これが随時改定と呼ばれるものです。

◆Syaho 月額変更の随時改定に該当するケース

以下の1〜3の全てに該当する場合、随時改定が必要となります。 1.昇給又は降給等により固定的賃金の変動があった場合。 2.変動月以降3ヶ月間の支払基礎日数が17日以上であること。   17日未満の月がある場合には、随時改定を行いません(定時改定の場合は改定を行う) 3.2等級以上の変動があった場合。 ※特定適用事業所に勤務する短時間労働者の場合は、11日以上が改定要件。  短時間労働者の場合、備考欄に、短時間労働者と付記してください。 ※全国健康保険協会の保険料額表より報酬月額から等級の変動を確認出来ます。  https://www.kyoukaikenpo.or.jp/home/g3/cat330随時改定の対象となるケースについて、  固定賃金プラスで2等級以上、上がる場合固定賃金マイナスで2等級以上、下がる場合  固定賃金が上がったにも関わらず、非固定賃金が減り、2等級以上下がるような場合は随時改定なし(逆もしかり)  通常通り、算定基礎届による定時改定待ちとなります。 ※賃金には、固定給のほか、通勤手当も含む手当や、残業などの非固定賃金も含めてください。  (通勤手当に関する考え方は、税金と社会保険で違います。 日本年金機構、随時改定の概要など http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20150515-02.html http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/kenpo-todoke/hoshu/20141224.files/0000027814D67YcB0BxR.pdf ※日本年金機構のHPのURLがコンテンツ整理により一新される場合があります。  URLが変更されていた場合、随時改定や月額変更届の提出でお探しください。

◆Syaho 随時改定時の届出と給与計算

日本年金機構に、健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届がありますので、印刷して使いましょう。 http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20141104-02.html 月額変更届けの書き方 1.はじめに事業所情報の記入と印鑑を押しておきましょう。 2.事業所整理記号   算定基礎など、保管書類を見れば判ります。 3.被保険者整理番号   上に同じ。 4.被保険者名、生年月日、種別。   生年月日は5・020101=昭和2年1月1日、種別はだいたいの会社が男1、女2となります。 5.変動月からの3か月の支給日と支給額。   まずありませんが、現物給与も加算します。 6.従前の標準報酬月額。   従前の給与計算時に使っていた月額を記載します。 7.3か月の合計と平均額を記入。   単純な算数。 8.決定後の標準報酬月額   全国健康保険協会の保険料額表(都道府県毎)などから月額を記載します。 9.改定年月について、   9月が変動月なら、9月〜11月が算定対象月、12月が改定年月となります。   この場合、給与からの控除は1か月遅れのため翌年1月に12月分を徴収します。 社会保険の月額の計算は支給総額になります。 通常の基本給、各種手当、残業代に加えて通勤手当も加算します。 ※源泉所得税などの税金は非課税通勤手当など課税の対象外枠がありますが、社会保険では加算します。 ※手当は法定手当、法定外手当のどちらも加算します。  法定手当、法定外手当は残業代の計算時に使います。 ※遡及昇給においては差額支給月を変動月とし差額を過去の遡及分を差し引いて計算します。 ※定時改定と随時改定の時期が被った場合には随時改定を優先します。  健康保険法41条、厚生年金保険法21条 随時改定に添付書類は原則不要 ただし、改定月の初日から起算して、60日経過した後に提出する場合、 5等級以上下がる場合には、添付書類が必要になります。 従業員の場合、賃金台帳と出勤簿の写し。 役員の場合、賃金台帳と議事録の写し等(特例有限会社も同じ) ※固定給変動月の1か月前から、月額改定月の1か月前まで。 ※役員の場合、以下AとBの写し、それぞれ1つずつでOK!  A(賃金台帳、所得税源泉徴収簿)  B(株主総会または取締役会議事録、報酬決定通知書、報酬協議書など)
◆Syaho 随時改定の提出先と提出期限について
郵送で、事務センターへ提出してください。 管轄の年金事務所に提出、年金事務所 + 管轄区域 + 都道府県名 でググればすぐに判ります。 ※平成28年10月1日から、広域事務センターへの統合、  年金事務所の機能の移管・統合・集約化が始まりました(各都道府県に事務センターを設置)  これにより、月額変更の随時改定は、事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)への提出となります。 ※提出しやすいよう、健康保険・厚生年金保険の適用に関する届け出書の多くが事務センターへ移行、  郵便番号(大口事業所個別番号)を導入、提出方法は、電子申請・郵送・窓口持参のいずれかとなります。 提出期限は"速やかに"という条件です。 表現を聞くと厳しく見えますが、こういった曖昧な表現は拘束力が非常に弱いです。 10日以内など、期限を明示されている方が限りなく厳しくなります。 添付書類が必要になると、面倒ですし、 徴収の関係もあるので、なるべく早いに越したことはありません。 以上、長々と書きましたが中々判り難いと思います。 随時改定をもの凄く単純に説明しますと、 月に17日以上来てない人は随時改定やらなくていいや、 固定賃金が上がって2等級上がってる人、固定賃金が下がって2等級下がる人だけ考えてればいいや、 月額変更届けを書いて、事務センターに郵送で提出して終わりっ! 単純化しすぎてますが、こういうことです。
◆Syaho 番外・社会保険料を節約しよう!
基本的に定時改定で社会保険料が決まるため、 4月〜6月の残業を意図的に減らし、社会保険料を節約する人も結構います。 厚生年金部分はともかく、健康保険や介護保険部分については、 多く徴収されても、有り難味がないですからね。 ※厚生年金部分は、当然ですが、  多く払えば払うほど、年金で貰える額が増加します。 ※給料を上手く減らして、保険料を下げる。  ただし、減らし方に失敗すると給料が下がった上、社会保険料が変わらずということも・・・ TOPに戻る:ページランクTOP:全管理サイト一覧
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